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「失われた街」とは

神戸大学大学院建築学専攻 槻橋・浅井研究室は、東日本大震災や能登半島地震の被災地で、被災前のまちをジオラマに再現する活動を行っています。住民と学生が協力して白い模型に着彩し、思い出にあふれたジオラマを一緒に作る「記憶の街模型復元プロジェクト」を60カ所以上で展開してきました。

「失われた街」模型復元プロジェクト

街を悼み、復興への一歩を

2011年3月11日。東日本大震災とそれに伴う大津波により、東北・関東地方の太平洋沿岸部で、多くの街や集落が一瞬にして失われてしまいました。「失われた街」模型復元プロジェクトとは、その失われた街や村を縮尺1/500の模型で復元し、地域に育まれてきた街並みや環境、人々の暮らしの中で紡がれてきた記憶を保存し、継承していくプロジェクトです。模型の制作は全国で建築やまちづくりを学ぶ学生のボランティアによって行われます。その活動には、これからの建築・都市デザインに携わっていく者として今回の震災で失われたものを認識し、把握しなければならないという意志と、豊かな日常を湛えていたかつての街への追悼の想いが込められています。かつてそこにあった街を模型で再現し、それを囲み、かつての街の記憶を振り返ることが、私たちにとっても、被災地の皆様にとっても、街の復興に向けた第一歩となると考え、活動を続けています。

Process

制作ピクセル決定

500m x 500m のpixelごとに制作図を作成。復元模型の制作地域を決定。

縮尺1/500模型制作

震災前の航空写真なども活用して街を縮尺1/500の白模型で復元していく。

「記憶の街」ワークショップ

街は記憶で出来ている

記憶の街ワークショップ」とは学生らが制作した白い模型を実際に現地に運び、現地の方々に見ていただく中で呼び起こされたかつての記憶を聞き取り、模型に表現していくことで、被災した方々の記憶の中に残っている「記憶の街」の模型を作り上げるというワークショップです。
模型を通して現地の方々が語られたかつての街の記憶は「つぶやき」として記録され、またそれは「記憶の旗」として模型を彩っていきます。想起された記憶の街の風景は現地の方々に直接色を塗っていただいたり、かつての記憶をたよりに樹木や祭りなどの風景要素を加えていただいたり、 学生のスタッフとの共同作業の中ですこしずつ形作られていきます。そこには地図を見ただけではわからない、かつてそこにあった風景が様々な思い出とともに蘇ります。

Process

模型上に記憶を集める

現地で模型を展示、地域の皆さんからお聞きした思い出を模型に記録・表現する。

記憶をたよりに模型を着彩

地域の皆さんの思い出を元にして白い模型を着彩していく。